特定の事業を主力とする事業会社と外部からデザイン業務を請け負う制作会社では、同じウェブデザインの業務であっても傾向の違いがあるものです。事業会社の場合、自社のウェブサイトを構築したり、サービスに関する紹介ページを作成したりといった業務が中心になるでしょう。つまり、特定のビジネス分野における知識がつき、狭く深く追及していくことになります。
事業会社がスタートさせたサービスに立ち上げ時から関わり、長期間にわたってそのサービスのデザインを担当することになりますので、サービスに対する愛着もわきます。また、デザイン業務以外にもサービスを利用しているユーザの調査、ヒアリングが発生することがあり、顧客の声に直接触れられるといったメリットも。しかしウェブデザインのスキルアップということを考えると、単一のサービスだけしか知らないというのは少し不安な面がありますよね。

事業会社と異なり、外部の企業からウェブデザイン業務を請け負う制作会社では、基本的にプロジェクト制がとられています。3か月から1年程度のプロジェクトに参加し、その都度顧客の事業や業界が異なるといったイメージです。特に社員の規模が100人を超えるような制作会社になると、請け負う仕事の種類が飛躍的に多くなります。
クライアント企業の業界も製造業・サービス業問わず多岐にわたり、クライアントの要望にあったデザインを手掛けていくために仕事の幅は一気に広がるでしょう。アプリのデザインからコーポレートサイトや期間限定のキャンペーン企画など、事業会社では経験しにくかった仕事に参画できることがメリットです。また、多くの有能な人材と交流する機会もふえるため、自己啓発や人脈作りにも役立ちます。ウェブデザインのスキルアップを目指すのであれば、一度は制作会社に勤務してみても良いでしょう。
特にウェブデザイナーとして駆け出しのころは、さまざまなプロジェクト経験を積んでおくことをおすすめします。その中から、自分が得意な仕事の傾向が必ず見つかるはずですので、よりスキルを特化させて後々の強みにできますからね。スキルの柱を作る良い機会になります。

制作会社勤務のメリットとして、経験できる広告媒体の多さも挙げられます。
近年は広告媒体が一気に増加し、従来のチラシ、雑誌といった従来型の広告媒体に加えてスマートフォン、ネット広告なども盛んに活用されています。今後は紙以外の広告媒体の比重がより高まり、新たな広告媒体が生まれること可能性も否定できません。ウェブに限った広告ではなく、紙も含めた様々な広告媒体での仕事経験がデザイナーとして貴重な財産となるでしょう。また、ウェブデザインだけを担当していると、従来型の紙広告の仕事に関わる機会が少なくなることも事実です。
雑誌やチラシ、電車広告などは世代を問わず多くの人の目に触れるものですから、デザイナーとして一度は紙媒体の広告を作り上げてみたいものですよね。さらに、クリエイティビティは幅広い興味・経験の上に発揮されると仮定すれば、多様な広告媒体の経験がプラスになる可能性は非常に高いと言えます。本来のフィールドであるウェブの分野で、より高いパフォーマンスを発揮するきっかけになってくれるでしょう。

ウェブのデザインのトレンドは毎年かわり、iPhoneを代表とする様々なデバイスも増えて行く一方です。
制作会社では、そんなデザイントレンドや、デバイストレンドを常に追いかけ、新しい技術や表現方法を常に習得して行く必要があります。毎日に変化があり自身のスキルの幅も増えてきます。今までチャレンジ出来なかった事への挑戦が安易に出来る環境が制作会社にはあります。
逆の発想では、事業会社でデザイナー職に転職したい場合は、制作会社で３年修行をしましょう。
制作会社から事業会社への転職は、少なくありません。未経験ならなおさらで、最低3年しっかりと制作に打ち込んできた方であれば、事業会社への転職確率は非常に高まるでしょう。
ただし、1年や、２年で転職をしてしまう事は、職務経歴としてはマイナス要因です。石の上にも３年、制作会社にも3年です。

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